ここではシーバスのシーズナルパターン・秋の時期についてまとめてあります。
9月~10月頃(初秋~仲秋)
9月頃から真夏日となる日が減って暑さが和らぎ、徐々に水温が下がっていきます。夏場では高水温で状況が悪かったポイントも再び小魚などが回遊してくるようになり、シーバスもエサを求めて回遊するようになってきます。
そして秋らしさを感じる頃になると、シーバスは越冬や産卵に備え体力をつけるために荒食いをするようになります。この時期が秋の本格的なシーズンとなり、春と並んでシーバスが釣りやすいシーズンとなります。
秋の時期、シーバスがエサとする小魚としては、イワシ・サッパ・アジ・コノシロ・イナッコ(ボラ)・サヨリ・落ちアユなど。その他にも、小イカ(ヒイカなど)や甲殻類(エビ・カニ)なども食べています。
アジの幼魚。豆アジ、小アジと呼ばれるサイズ。日中は底にいることが多い。
ただ夏ほどではないにしろ、水温や水質の変化が起こりやすい時期である点には注意が必要です。
1. 台風
水温や水質の変化が起こりやすい要因として、一つ目は「台風」があげられます。
秋は台風の季節といわれていますが、大量の雨水と強風によって水質の変化が起こりやすく、台風が通るとそのエリアは大きく荒れます。魚はこれを避けるように、一時的に深場や荒れの影響を受けにくい場所に身を潜める行動をとります。
台風によって釣り場が大荒れになった場合は、水温と水質が安定して魚が戻ってくるまで、しばらく釣りにならない状況が続いたりします。
また、釣り場によっては台風時に魚が溜まるポイントがあったりし、そういったポイントが見つかれば台風後は狙い目となります。
台風後に釣れたシーバス。岩などにぶつかりながら流されたためか、体中が傷だらけの状態。体表を保護する粘液も多く分泌されている。
2. 青潮
水温や水質の変化が起こりやすい要因の二つ目は「青潮」です。
青潮とは海底に溜まった酸素の乏しい海水が表層に浮き出る現象で、それが起きた水域が青白く見えることから青潮と呼ばれます。青潮は港湾部の閉鎖性水域で発生しやすく、夏から秋の移り変わりの時期に起こりやすいことで知られています。青潮は夏場に起こる赤潮と同様に、海の生物が嫌う潮です。
青潮が起こったエリア、特に浅い水域では魚を初めとする生物は酸欠により姿を消してしまいます。シーバスなどの回遊性のある魚は青潮を避けるために移動してしまい、ハゼなどの泳ぎが得意でない魚や貝などの定着性の高い生物は、全て酸欠によって死滅してしまう場合があります。青潮が起こったエリアでは釣りになりません。
3. 季節風
最後に三つ目は「季節風」です。
秋が深まると冷たい北風が吹くようになります。特に強い北風は「木枯らし1号」と呼ばれる季節風で、この風が吹くと本格的な冬到来のサインとなります。
夜間に吹く冷たい北風は、表層の水温をどんどん下げてしまうので、魚は浅場から水温の安定した深場へと移動するようになります。こうなると、陸っぱりから釣れるポイントが徐々に限られていき、ボートでしか狙えないような場所でしか釣れなくなる傾向になっていきます。
また季節風の北風は、東京湾などでは青潮を引き起こす原因となっています。湾口部が南向きの湾では、強い北風によって表層の海水が外洋へと向かい流されていき、その流された分を補うように海底の酸素の乏しい海水が表層へと引っ張られるように移動してきて沿岸域で青潮が発生します。
11月頃(晩秋)
晩秋に入ると、シーバスの群れが徐々に沖へと移動してしまうため段々と岸から釣れにくくなり、秋のシーズンの終わりを感じるようになります。そしてシーバスの群れが産卵や越冬のために深場へと落ちていくと、冬のシーズン到来となります。
秋に釣果をあげるには
秋の時期にシーバスを釣るには、以下のポイントを抑えるといいでしょう。
狙う場所
- 河川、河口
- 運河
- イワシの回遊ポイント(サビキ釣りで釣果のある釣り場周辺)
- 青潮の影響を受けないエリア
釣り方
- コノシロパターン
- サヨリパターン
- 落ちアユパターン
秋の時期は、春と並んで釣りやすいシーズンであることは間違いありません。エサとなる小魚のサイズは春と比べて大きく成長していて、シーバスはこれを捕食しているため、大きいサイズのルアーにも積極的に食いつく傾向にあります。
河口では、上流から流されてくる落ちアユを狙って、産卵をひかえた大型のシーバスが集まってきます。
ただ、台風・青潮・季節風といった要因によって水質の変化が起こりやすい時期でもあり、ポイント選定を外すとベストシーズンといえども全然釣れないという結果に終わることもありえます。